2026.07.23
リビングルームのプチリフォーム
Timeless comfort
25年暮らしてきた自宅リビングのリフォーム。
もともとは大工さんが建てたこだわりの住まいでしたが、当時は「出窓」や「カーテンポール」が人気だった時代。断熱性能も今ほど重視されておらず、窓が多い間取りには少し古さを感じるようになっていました。
一方で、手仕事ならではの美しい造作や繊細な納まりなど、今ではなかなか見られない魅力も数多く残されています。リフォームでは、そうした良さをできるだけ活かしながら、長年気になっていた部分だけを見直しました。
家具も傷や経年変化がありますが、長く使い続けるほどに愛着が増し、年月とともに住まいに自然と馴染んでいます。
住まいは、完成した瞬間がゴールではありません。
暮らしの変化とともに、その時々に合った心地よさを少しずつ重ねていくものだと思います。
住む人と一緒に歳を重ね、必要なところだけを丁寧に整えながら育てていく。
そんな住まいこそが、Timeless comfortなのではないでしょうか。

Color scheame

心地よい空間は、色・素材・光が調和して初めて生まれるもの。
この住まいでは、それぞれが美しく馴染むよう、住まい全体の色彩計画をデザインしました。
ベースカラーとなる家具、花梨の無垢床材は赤味色のあるダークブラウン。
塗り壁にはグレートーンのオフホワイトを採用し、カーテンにはグレージュを選ぶことで、やわらかなグラデーションをつくっています。
アクセントカラーには大好きなピンクを加えました。
椅子の張地のペールグリーンとブラウンが使われている中でのピンクという色は余計なのでは?と思われましたが、北欧ブランドならではの美しいグレイッシュピンクで見事に調和しています。
またテーブルランプや絵画のマットなどにリンクさせることでほどよいアクセントとなっています。

塗り壁
工務店勤務時代から親しんできた「サンゴ漆喰の塗り壁」。
施工中はほんのりと潮の香りが漂い、ひんやりとした空気に包まれます。職人の手仕事ならではの温かみがあり、光を受けるとほのかな艶が生まれる、美しい素材です。
リビングの壁は、北欧インテリアのシンプルな雰囲気に合わせ、あえて凹凸を抑えたマットな仕上げにしました。
実は、このような均一でマットな塗り方は、ごまかしがきかないため、高い技術が求められます。
丁寧な仕事をしてくださる職人さんのおかげで、理想の壁に仕上がりました。
一方、照明器具を変更したキッチン天井には、刷毛跡をあえて残す「ラフ仕上げ」を採用しています。
下地の影響を受けやすい場所には厚みのある仕上げが適しており、光が当たると陰影が生まれ、素材ならではの表情を楽しむことができます。






カーテン
大きな面積を占めるカーテンは、空間全体の印象を左右する大切なアイテムです。
以前は、ダイニングのマルニ木工「地中海シリーズ」に合わせ、クラシカルな雰囲気のカーテンを掛けていました。
今回は、北欧インテリアの軽やかさを取り入れたいと考え、素材感とやわらかな色合いを大切に選びました。
北欧では、窓辺はとてもシンプルです。
キャンドルや照明の灯りを楽しむ文化があり、カーテンを付けない住まいも少なくありません。付ける場合でも、リネンなどの自然素材や、レースだけの軽やかなスタイルが多く見られます。
もちろん、日本は北欧とは気候も住宅事情も異なります。
特に戸建てでは、外からの視線や日差しへの配慮も欠かせません。
そこで今回は、北欧らしい自然素材の雰囲気を大切にしながら、ご自宅で洗える実用性も兼ね備えた生地を選びました。
・ドレープカーテ
マナトレーディング リデリス #11 FRESCO
・レースカーテン
マナトレーディング ヘイズ #117 Natural
・タッセル
FEDEPOLYMARBLE ローランCA310




照明
今回リフォームを決意した一番の理由は、照明が現在の暮らし方に合わなくなっていたことでした。
子どもが小さい頃は、ダイニングで宿題や勉強をすることが多く、ペンダントライトには昼白色の電球を使用していました。
子どもが成長した今、ダイニングは「作業をする場所」から、「ゆっくり食事を楽しむ場所」へと役割が変わっています。
それにもかかわらず、以前のままの白い光では、どこか落ち着かず、「なんだか寛げない」と感じていました。
そこで今回、LDK全体の照明を電球色へ変更しました。
照明は、部屋を明るくするためだけのものではありません。
暮らし方に合わせて光を整えることで、同じ空間でも流れる時間や心地よさは大きく変わります。
Before


After



夜のお食事時には、この2つの照明だけで十分です。
暗がりをつくることで、灯りがより美しく見えます。



住む人とともに変化し、心地よさを育て続ける住まい。
それが私の考える「Timeless comfort」です。これからも、灯り・色・素材を大切に、心豊かな時間を育む空間をご提案していきたいと思います。